スペインの法制度は、合同会社の株主が株主総会に代理人によって出席することを認めている。法は、合同会社の閉鎖的な特徴に調和する形で、株主による自主的な代理権授与について制限するような条件を設けており、その結果、代理人となれるのは株主の配偶者、尊属、卑属、他の株主、または、公的書類による委任状によってスペイン国内において株主がもつ資産の管理をできるような幅広い権限を与えられた第三者とされる。しかし、会社の定款に定めがある場合には、株主は代理人によって株主総会に出席することができる。したがい、法は、株主に第三者を代理人として選ぶ権利を認めていると解されており、これは2014年4月15日付の最高裁判決においても「定款により第三者による代理出席を許容することを法が予期しているのであるならば、それは、他の株主でも親族でもない第三者が、たとえ株主の資産を管理するような権限を持っていなかったとしても、当該第三者に対して株主が代理権を与えることができることを意味しているといえる。」として再確認されている。この場合、資本会社法第183条第2項に従い、株主総会ごとに特別委任状が必要となる。

商業登記規則は、株主総会議事録作成のために株主総会への出席を取締役から要請された公証人に対して、招集手続き省略総会の場合を除き、異議を申し立てた株主の能力の判断と、当該総会が法及び定款の定める要件に従って招集がされたかを評価することのみを要請している。

この帰結として、最高裁は2014年2月12日付の判決において、株主総会の出席者の一部が、代理人により出席をした株主の一人について、資本会社法第49条第2項が求める代理権が正式に授与されていないとして異議を申し立て、そうであるにもかかわらず、株主総会が当該代理人への委任状は十分であるとして当該代理人を出席株主として含むことに同意したのであるならば、それを原因として株主総会で承認された決議事項について異議が申し立てられた場合において、当該委任状が代理権を与えるに十分であることを文書として証明することを保証しなければならないのは、当該株主総会を議事進行する会社である、と判示した。

スペインの法令は、株主の代理人として出席した者への委任状について、それが公正証書による委任状であろうとそうでなかろうと、株主総会議事録に含めることを要求していないことに留意すべきだろう。また、合同会社の株主総会における株主総会の成立、審議、決議の文書化にかかる規定は、議事録の一部としてもしくは添付書類という形で、出席者のリスト及び本人による出席なのか代理人による出席なのかをその保有株式割合とともに記載することのみを求めている。

しかし、最高裁は、異議を申し立てた株主は、株主総会開始時にその権利行使の機会をもち、与えられた権利内で異議を申し立てる権利を行使したのであり、当該手段の証拠の欠如によって当該株主を害することはできないとした。会社は、異議を申し立てられた委任状について十分であると認めるべきとし、株主総会議事録の添付書類としてそれを添付することで当該委任状が十分であることを証明する可能性を抱いた株主総会を議事進行した者として、当該欠如により損害を被ることになる。

さらに最高裁は、株主総会の成立について当該株主総会の議事録を作成するために出席した公証人は、当該株主総会の出席者の行為の合法性や決議の適切性及び正当性を判断する役割を果たすものではないと宣言した。

 

 

ウーゴ・エステル (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

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2016年12月23日